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優しいとは聞こえは良いが、優柔不断で気が弱かった。仕事も決してできる方ではなく、稼ぎも少なかった。
これでまだ家事とか子育てとか手伝いができればまだ救いはあったかもしれないが、母曰く「自分でした方がマシ」と言う感じで、自分もそれは小学生になった頃には理解できるようになった。
運動会のリレーに出ればすぐにビリになり、夏休みの工作を手伝えば失敗する。
要するに、「イケていない」父親であり、夫だったのだ。
それでも父は、「何か手伝うことはないか?」と母や自分に言って来た。
時に、うっとうしい程に。
「頼りにならない」のに「頼りにされたい」と思っている父を、自分も母も避けるようになっていた。
「まあ一言で言えば、私が彼を当てにしなかったせいでしょうね」
そうして、婦人から返って来た言葉は、何となく頷ける内容(もの)だった。
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