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それだけは、言ったらホントにしまいになりそうで、言えん。言ったら、あかん。
「日下は素直じゃねーな」
スッと笑顔引っ込めて先輩は真顔になる。
「言われないとわからないこともあるよ」
あかん。
あっかーん。
ぶつんて、なんかの切れる音が聞こえた。俺の頭の奥から聞こえたようやった。
「いっ、」
先輩の頭が揺れる。襟首掴んだらほんま、首の座らん赤ちゃんみたいに揺れる。
なんなんこいつ、なんなんこいつ、メッチャムカつく。
自己中。アホんダラ。へたれ。ええカッコしい。悔しい。腹立つ。もうなに言ったらええんやろ。とにかくありとあらゆる罵声浴びせたい。
自分のことばっかで俺の気持ちなん察する気もなくて自分勝手で受験終わって余裕できたら今度はなんなん、可愛らしく「行かんといてー」って縋って欲しいとかそう言うことですか、アホですか。そんなん演歌の女でも言わんわ言うかもしれんが上手く言うたところで「あなたを殺していいですかー」の世界やで。後ろから刺されんで。寧ろ後ろからちんぽ挿したろか?ってそうやのぉて、ほんに、なんでこんなに。
「っ、むっちゃ淋しい……っ!!」
満身の力を込めた罵声を押しやって本音が飛び出た。それはビックリするくらいど直球やった。
「あはは」
時差式で込み上げた羞恥がメッチャ顔熱くする。
「かわいーなー、日下ー」
ケラケラ声を立てて先輩は笑う。
「卒業式とか、ほっぽって犯しくなるくらい、可愛い」
笑いながら、右目を拭った。それは少し、濡れていたようだった。
泣いたのか、なんで涙が出たのか確認する前に尖った唇がちゅって、音立てて俺の唇を吸う。
「……あかん」
「なんで?」
完っ全毒気抜かれた単純な俺は、学ランのフォック外してくる手を止められない。
「……俺、ソージやし」
「掃除?」
「送辞、っ」
指先がズボンのフロントに触れる。既に期待勃ちしたナニの頭撫でられてケツの穴がきゅってしまる。
「手よりも気持ちイイとこ使わしてやるから送辞は我慢しろよ」
「俺が我慢とかそう言う問題やのぉて……」
って、
起きてたんかーい!
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