Ⅱ 桜と空部屋と自白強要

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 なんてお互い(俺のは直接見られちゃいないけど)醜態曝しといて、3月始め。  「いえー」  あんだけ騒いだ癖に(騒いだからか)あっけなく先輩は第1志望校に合格した。  「やっぱさ、俺って頭のできがいいから?なんでもそつなく(こな)すって言うか?」  俺の背中バンバン叩きながら破顔。  俺の胸には破顔できない痼が残る。  ここから、電車乗り継いで何分だっけ。先輩の学校。  この学校はもう、先輩の学校やなくなるんやな、なんて。  大学の近くにアパート借りたんやって?合格したその足で契約にいったんやって?俺の知らん間に先輩の荷物はのぉなって、俺だけ完全に置いてかれてる感じ。合格したかどうかだって、なんで俺が先生から又聞きせなあかんの。電話1本でええから、教えてくれたってええやん。  こんなんに拘る俺はガキなんか。  付きおうてたら、好きやったら我慢せなあかんの?  たったひとつ、年齢が違うだけで、先に生まれただけで。  こんなにもおいてけぼり感。  「知ってんよ」    だって、今日なんの日か知ってる?  あんたはよれた制服でさ。マフラーなんて巻いてるし、白い息吐いてるけど。  合格通知持ってニコニコしてるけど。    俺これから、卒式(そっしき)の送辞読んやで?
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