ある日の昼下がり

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ある日の昼下がり

 ある日の昼下がり。窓から擦りガラス越しに射す光がぼんやりと俺のデスクを照らす。気温の低い十一月に射す光は柔らかく、今が生命の誕生の季節……春だと錯覚しそうだった。  この穏やかな日和には、俺の気分も自然に高揚する。窓から擦りガラス越しに射しこむ光に触発された俺は、ふと思い立ってネットサイトのIQテストをしてみた。  すると…… 「ウソだろう……」  IQテストは基本的にはパズルの連続……しかし、パソコン画面の上のそれは、ぐらりと歪んで次々にくっついてゆく。それはまるで、俺の脳内で三次元化……いや、四次元化し、一つ一つのピースがお互いに引き付けあうかのようにくっつき合っていった。 「どういうことだ……こんな感覚、初めてだ」  自分のキーボードを叩く手が止まらない。難解なはずのパズルが、いとも簡単に次々に解けてゆく。まるでオートマチックに、恐ろしいほどのスピードで全てのパズルを解き終えた。  その結果……俺は目を疑った。 「IQ300……」  凄まじい数字。エジソムも、アイムシュタインも、レホナルド・ダ・ヴィンチも……今までこの世界のどれほどの天才も叩き出したことのないほどの数字が出た。 『あなたは天才を超えた超天才です。この世の全てのものを知ることができるし、これから起こる全てのことを予測することができる。あなた程の天才はこの地球上にあなた以外存在しないし、これからも生まれることはないでしょう』  IQテストのネットサイト上で、ここまでのコメントが書かれていた。 (これは凄い! 今まで気づかなかったが、俺は天才を超えた超天才だったのか!)  途端に俺の視界は鮮明な薔薇色に変わり、胸がワクワクテカテカ弾んだ。まるで湧き上がるかのように、俺の心は溢れんばかりの自信で満たされた。
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