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第1章 復讐鬼
「軍事行動執行機人」…通称「機人」全高18メートルの人の形を模倣した大型兵器…
「機人」は、あらゆる状況下での軍事行動が可能であった。
空を舞い、地を駆け、海を渡った…
通常の兵器の様に状況下において、機体や車輛、船舶を使い分けるのでは無く、基本の機体はそのままに装備を交換するだけで状況に対応できる兵器として生まれた。
この為、軍事産業は分断され新たな軋轢も枝分かれするように拡がってしまったが、世界の澱みはそれさえも経済発展に繋げてしまった…
源光消滅の出来事から8年後…アフリカ大陸の北西数100キロメートル地点に存在し、今では古戦場となりつつあった「凍原境」…周囲180キロメートルに及ぶ戦場は各国に蹂躙され、歪な大地へと変貌していた…
「新人だって?こんな時に?」怒りと不安を入り混ぜた物言いで
古参の機人使い(パイロット)の「李大典(リ タイレン)」は雇い主である通商連盟の人事官に突っかかった。最近は質の悪い「機人使い」しか来なかったからだ。
「まあまあ、李さん…新人と言っても、(焔千喜)の弟ですから!」人事官は落着き払って、大典の肩を叩いた。
「なっ?…焔の弟?!弟がいたのか?!」大典は焔千喜を知っていた。歳も近く大典の世代では、彼の評価は二分されていた…神か悪魔かと…
「何故?こんな稼げない所に?…」現在の凍原境は戦場としての価値も薄れつつあり、各国の軍事経済産業組織も離れつつあった。大典はそれを重々知った上でこの地を選んだ。
「李さんは何故、ここにいるのですか?」人事官は質問を返した。
「俺は、生き残れる場所を選んだだけだ!」大典は少し興奮して言った。
「きっと、彼もそうですよ!」人事官が手を後方に差すとその先に青年が立っていた。
青年は大典より少し大きく線は細いが俊敏そうに見えた。
「初めまして、焔万里(ホムラ バンリ)です…」青年は礼儀正しく頭を下げた。
しかし、大典は気付いた…青年の瞳に映る静かだが激しい復讐の炎に…
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