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第2章 東京自治区
ここ、凍原境ではシンプルに領地の覇権を争う戦闘もあったが昔の話で、今では各国の軍事経済産業組織の実験場となりつつあった。実験場と言っても戦闘は実戦方式で毎日、誰かが居なくなっていた。
大典が所属する通商連盟はアジア圏の小規模の軍事経済産業組織で、機人も型遅れのものが多く整備も決して行き届いているとは言えなかった。
「今日の仕事は大物になりそうですよ!李さん!」眼鏡を押さえながら、大柄で真面目そうな男が大典に声をかけた。
「そうか!頑張ろうじゃないか!高天!」大典は自分より大きく15歳若い
「張高天(チョウ コウテン)」の背中を叩いた。
「君も初陣だな!頑張れよ!」大典は傍にいた万里にも声をかけて肩を叩いた。
「君は何処から来たんだい?」高天は歳が近い万里に気さくに声をかけた。
「東京自治区です…」万里は素直に答えた。
「……」高天は気楽に聞いた自分を責めた。
東京自治区…かつて日本国の首都だったが、現在ではその面影は無かった…
そして、テロで初めて「機人」が使用された都市でもあった。
街は想像を絶する凄惨な光景が限りなく拡大し、人が物の様になり下がった。
断末魔と悲鳴があらゆる場所から聞こえ、手に負えない状況で人々はただ殺されるのを待つしか無かった…
この出来事は機人を扱う者達にとっては初めての市街戦での実戦データであったが為、
歓迎されて各軍事経済産業組織からは東京自治区にかなりの援助が届いたが、人々の脳裏に植え付けられた恐怖を取り除く事は出来なかった。
「余計な事聞いたね…ごめんなさい…」高天は素直に万里に詫びた。
「いえ、構わないですよ!」万里は優しく笑った。
出撃前に作戦室で情報官によるミーティングが行われていた。
「今回相手にして貰うのは公武連合体の人機、豪巌(ゴウガン)です!」情報官はハキハキ話した。
「公武連合体とは、中堅処の軍経産組織じゃないか!」大典は少し興奮して言った。
「豪巌?聞かない名前ですね?新型ですか?」強天が不安そうに情報官へ質問した。
「そうみたいですね…機体ナンバーにプロトタイプ識別がありますね!」情報官は書類を確認しつつ答えた。
「装備はわかるのかい?」大典は念押しするように聞いた。
「いいえ、装備等は非公開です!」情報官は当たり前の様に話しミーティングを終えた。
「今回は新型のテストの様だから、相手も本気でやらないさ…」大典は不安を飲み込んで言った。
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