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第5章 猛攻 豪巌
純姫は万里の刃我を標準固定すると右前腕に装備された「円舞楯(エンブジュン)」を刃我めがけて射出した。超硬度ワイヤーで繋がれた円舞楯はヨーヨーの様に高速回転しながら、万里の刃我に襲いかかった。
「ギャイン!!」万里は刃我を急制動させ、上体を沈めると薙刀を下段から上段へと凪ぎ払い、左上方より迫る円舞楯を弾いた。
「巧い!!」大典は思わず言って、上体を沈めた刃我の上から純姫の豪巌を狙いD18を連射モードで撃ち込んだ。
「それで終わりじゃないのよ!!」美亜は叫ぶと純姫の豪巌の前へ飛び出し、D18の銃撃を両前腕と両肩の円舞楯で機体を包み、高速回転させて弾丸を在らぬ方向へ跳ばした。
万里は前方の二機の豪巌をすり抜け、後方にいた愛蘭の豪巌に狙いを付け突進した。
「うまくやるつもり?…」愛蘭は関心無さげに言うと、左前腕の円舞楯を大地を削る様に撃ち込み、大量の砂煙発生させると右前腕の円舞楯を大地に撃ち込みそのまま背部に装備された大容量ロケットバーナーで上空に飛び、大地に固定した右前腕の円舞楯の遠心力を利用して、万里の刃我の真上に来ると両肩の円舞楯を射出した。
「上手く切り離した様だけど、美亜!前へ!!」純姫は愛蘭を見ながら美亜を前へ押し出させた。
「クソ!!凄い圧力だ!!」大典は飛び込んで来る美亜の豪巌を銃撃しながら左へ回り込み距離を維持した。
「なんで当たらないんだ?!」DA615で撃ち続けていた高天は、重武装の豪巌に一発も弾丸が当たらない苛立ちが不安に変わりそうだった。
「そんな遠間からの大雑把な射撃が当たるわけないよ!バカ!!」美亜は高天の声が聞こえてはいなかったが返事をした。
「純姫!!」美亜が叫ぶと同時に豪巌に急制動をかけ一瞬、美亜と大典の機体の動きが止まった間隙を縫い、純姫の豪巌が右側方から飛び出して一気に大典の刃我との距離を詰めた。
「動きが単調過ぎたね、あんた右目が悪いのかい?」純姫はそう言うと大典の刃我めがけて装備された全部の円舞楯を射出し右側へカーブさせた。
確かに大典は右目が若年性の白内障になり手術をしたばかりだった。
「ガッ!!バギャ!!」高天の射撃が美亜の左肩に直撃し円舞楯を粉砕した。
「あはっ!!当たったよ!!」高天は思わず喜び、射撃を止めてしまった。
機体の動きだけで解ってしまうものだ…怒りと言うものは…美亜はゆっくり豪巌を高天の刃我に向けた。
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