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序章
雲ひとつない青く静かで壮大な天空が広がっていた…
ずっと続きそうな天空の一点に小さな白い影が顕れたかと思うと、爆発的な速度で地上に向かって堕ちてきた。
「何故?!気づかなかった?!」ユーラシア大陸南方に位置する軍事拠点「源光」は周りを囲む数キロメートルの鉄条網さえなければ、一見ただの民間飛行場に見えていた。
「解りません?!強力なステルス機能があるとしか!!」民間飛行場の地下数十メートルの地点に源光は存在し、全高18メートル軍事行動執行機人「元武」をあらゆる戦場に投入して破壊の限りを尽くしていた。
「バカな?!電磁波も感知出来ないと言うのか?!」基地司令「当間海時」は絶望の声を発した。
壮大な青い天空を突き抜けて加速し続ける巨大な人影は白い雲を引きながら、背部のロケットバーナーをさらに噴射させて「源光」めがけて突貫した。
「ごめんな…撃神…お前をこんな風にしか使えなくて…」軍事行動執行機人「撃神」の頭部コックピットに収まる「焔千喜(ホムラ センキ)」はヘルメットを外して撃神に心から詫びた。
「見てろよ!父さん、母さん、万里!!俺が皆の怒りを届けてやるからなっ!!」千喜は叫ぶと、撃神を「源光」に照準固定した。
「迎撃急げっ!!」当間は源光の基地司令としての任務を全うした。
「間に合いませんっ!!」基地観測担当官の悲鳴が当間が聞いた最期の言葉であった。
大地に突き刺さった怒りの剣は、地底で禍禍しく蠢く醜い奔流を焼き付くし、直径数キロに及ぶクレーターを遺し消えていった。
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