第11章 焔 千喜

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第11章 焔 千喜

「彼ですか?阿修羅同盟から来られた優秀な機人使いは?」 軍事経済産業組織の上位グループの一つ「神聖顕府」の府長「是永貴章(コレナガ キショウ)」は阿修羅同盟から高額で引き抜いた焔千喜を愛でるように見つめた。 「府長閣下自らのお出迎え、感謝致します!」千喜を連れてきた人事官のトップは腰が折れそうなくらいに頭を下げた。 「構わないですよ…」是永は右手を挙げ人事官を敬った。 神聖顕府は地球の衛生軌道上にあり、「天秤」の名称で全長4キロメートルの巨大な円錐型の施設を両端に備えられた立方体で構成された宇宙ステーションとして、各国へ研究実験施設の提供や軍事技術の開発等に支援を行っていた…そして、もう一つの本来の顔が軍事経済産業組織としての業であった。 「東京での出来事は、大変遺憾に思います…」是永は千喜に詫びるように言った。 「いえ、神聖顕府を含め組織の方々には、本当に手厚くして頂き感謝しています…」千喜は是永へ丁重に礼を言った。 「焔君…ようこそ!神聖顕府へ!我々は君を歓迎しよう!」是永は両手を拡げて千喜を迎えた。 「ありがとうございます!期待にお応えできる様に尽力して行きます!」千喜は是永の期待する言葉を言った。 東京自治区… 「彼は気が付いていた様だね…」古い公園のベンチでホームレスの男が、隣に座る黒いスーツの男に答えた。 「そうともかぎらない…現に彼は死んだのですから…」スーツの男はホームレスの男の推測を疑問視した。 「死がすべての終わりでは無いよ…」ホームレスの男は哲学めいた言葉を言った。 「意志が残ると?…」スーツの男が哲学に答えた。 「それはきっと、血の継承では無いよ…」ホームレスの男の哲学に深みが増した。 「復讐…いったい何になると言うのですか?」スーツの男が少し興奮して言った。 「大典…君は何も知らなくていいんだ…見届けるだけで…」ホームレスの男が李大典を諭すように言った。 「私の記憶を消して下さい…私は愚かな人間で充分です…そんな神様気取りなど反吐がでます…」大典はホームレスの男に懇願した。 「それもいいだろう…だが、見届けるのは君の役目だよ…君自身も彼らにとっては復讐の対象者なのだから…」ホームレスの男は優しく告げると大典の肩に手を置いた。 「軍事行動執行機人…撃皇…お前には、僕と兄さんの復讐に付き合って貰うよ…」万里は深い決意を撃皇に告げた… おわり
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