第3章 凍原境の荒姫

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第3章 凍原境の荒姫

黒く長い髪の毛先を指先で撫でながら、「朴美亜(パク ミア)」は豪巌の頭部コックピットに収まり、イライラしながら出撃を待っていた。 「今回は3対3の小隊規模でしょ?遅くない?」美亜は公武連合体の情報官を自慢の瞳で睨み付けて言った。 「美亜さん、いつもと同じですよ?時間指定に誤差はありません!後、ヘルメットは着用してください!」情報官はモニター越しなのに美亜の美しさに動揺しながら慌てて言った。 「美亜?あまり、イライラしない!」小隊リーダーの「金純姫(キム スンヒ)」は10歳若い美亜を叱った。 「は~い」美亜は膨れっ面で返事をすると髪をまとめてヘルメットを装着した。 三番機の「龍愛蘭(ヨン エラン)」は短髪の髪を手で掻きあげながら二人のやりとりを黙って聞いていた。当然、ヘルメットは着用していなかった。 通商連盟側の地上基地「砂城」は周囲1キロメートルの小規模な軍事基地で、凍原境に置いての拠点であった。 「防塵扉開けてくれ!出るぞ!」大典の声で基地格納庫の扉が軋む金属音と共に開き、重量感を響かせてゆっくりと通商連盟側の機人「刃我(ジンガ)」が出撃した。 大典の駆る刃我の装備した中型の70ミリ弾を装填したD18カービンライフルは高い威力を発揮出来たが連射が遅く命中精度も今一つだった。 高天の刃我は大型の110ミリ弾を装填した旧式の支援機関銃DA615を装備。 万里の刃我だけは近接戦闘用の日本の武道で使用する薙刀の様な大型の刀剣だった。 公武連合体側の地上用大型輸送戦車「地轟」は作戦ポイントへ到着すると、走行中の後部ハッチが開き、銀色に試験塗装された豪巌三機が轟音と砂煙を巻き上げ、おぼろ気な姿を見せながら発進していった。 豪巌は三機共に同じ装備であった。 作戦ポイントへ着くと、大典は万里の機体を改めて眺めると 「本当にその装備でいいのか?…焔?」不安を隠さず、万里に言った。 「はい!これでいいです!」万里はハッキリ言った。 「僕が援護するから、無理しないで!」高天は刃我に支援火器を構えさせると万里を心配して言った。 「センサーに反応…通商連盟側の刃我三機です…」愛蘭は関心無さげに報告した。 「あんなゴミ、さっさと殺ろ~よ!」美亜がめんどくさそうに言った。 「油断しない!敵機装備調べて、愛蘭!」純姫は注意と指示をした。 「了解…」愛蘭は関心無さげに答えた。 「もう!」美亜は拗ねた。
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