第2章 レンタル勇者

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「はい、ご主人様。お呼びでしょうか」  と、父が立っていたレジの後ろにある暖簾(のれん)を潜って、胸元まである青い髪が印象的な俺と同い年ぐらいの1人の少女が現れた。 (おいおい嘘だろ。この子が、勇者―――?!)  店の奥から現れたその子を見て、俺は思わずそう思わずにはいられなかった。なにせその子は、身長は165センチくらいの長身なのだが、勇者というにはあまりにも細くてか弱そうに見えたからだ。おまけに、年もほぼ変わらないどころか、年下に見える……。しかも、かなり可愛くて俺の好みにも近かった。 「お~い、テオ。なに見とれてるんだ」  そんな出で立ちの彼女に釘付けになっていた俺に、父が冷やかしの言葉を投げかけて来た。そう言われた俺は、 「べっ、べつに、見とれてねーし」  と、すぐさま否定したのだが、見とれていたのには間違いない。その、勇者らしからぬ風貌も含めてだが。  
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