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「あっ、えっと、こ、こちらこそよろしくお願いします!」
初めて会った勇者様がいきなり頭を垂れて来たものだから、俺も慌ててお辞儀をした。そして、顔を上げると丁度同じタイミングで向こうも顔を上げてきて―――茶色いつぶらな瞳と目が合った。
(き、綺麗……)
混じり気のない澄んだその瞳はまるで宝石のように見えた。そばに立っている父さんの、全てを闇に変えてしまいそうな真っ黒な瞳とは大違いだ。というか……
「さっきから黙って聞いてりゃ親父、勇者様に色々と無礼な態度を取り過ぎだろ! 下の名前をちゃん付けで呼んだり、汚い手を肩に置いたり。しかも、自分のことをご主人様とかなんとか呼ばせて!」
「なんだ、お前。羨ましいのか?」
「だっ、誰が―――ッ!?」
そう、この父のいきなり大きくなった態度に俺はイライラしていた。俺の憧れである国家騎士以上に偉い勇者様をまるで娘―――というか、召し使いのように扱っているその横柄な態度に。
そのため俺はついつい熱くなってしまい―――
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