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そこに、ようやく事態を把握した父が近づいて来てこう告げた。
「あぁ、彼女の言う通りさ。彼女がこの店に来たときに俺にあれこれ聞いて来たんだ。俺のことを何とお呼びしたらいいのですかとか、自分のことを何てお呼びになられますかって。なぁ?」
「はい、ご主人様」
それを聞いた彼女もコクリと小さく頷くと、そう即答していた。
(おいおい、マジかよ……って、だからって、ご主人様とかシズクちゃんとかは流石にないだろ!?)
一人取り残させれる形でこれまでの経緯を聞かされていた俺は、ただただ呆然とするしかなかった。いくら彼女がまだ15歳の少女で勇者になったばかりだとしても、これはいくらなんでも可笑し過ぎる。自分のことを『ちゃん付け』で呼ばせる勇者など聞いたことがない。まあ恐らく、父がそう呼んでもいいのかって聞いたんだろうが、勇者様もよくそれを許したもんだ。父はただの小さなレンタルショップの店主でしかないと思っていたのに。
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