第2章 レンタル勇者

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 いきなり勇者様の頭をポンポンし出した父に、俺は思わずまた声を上げそうになった―――が、なんとか「ちょっ―――!?」までで堪えることに成功した。危ない、危ない。  と、その時だった。  「ご主人様、失礼致します」と言って勇者様は再び父の手を払いのけ、ガクっと両膝を突いたかと思うと、土下座でもするかのような態勢で俺を見上げ――― 「テオ様。先程のご無礼、大変申し訳ございません。私、昔から怒ってしまうとついつい我を忘れてしまうものでして……本当に申し訳ございませんでした!!」  ベターーっと突然頭を下げ、本当に土下座してきた!? 「ちょ、ちょっと、勇者様!? 何されているんですか、頭をお上げください! 悪かったのは俺の方なんですから!」  いきなり土下座をして謝って来た彼女に、俺はアタフタしてしまった。確かに、人を殴ることはよくないことだが、何も土下座をするほどではない。ましてや、相手は勇者。勇者が国王以外に頭を下げている所など俺は見たことがなかったのだ。それなのに―――
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