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「あっ、わりぃ、つい勢いで掴んでしまって。しかも、今まで忘れちまってて」
そう言うと俺は慌ててシズクの手を離したが、その手には僅かばかし彼女の手の感触が残っていた。暖かくて小さい、本当に勇者とは思えない柔らかな手の感触が。
「……ところで、テオ」
「ん?」
俺に離された手をじっと見つめ、シズクがまた何か言いたげな感じで口を開いた。
「私のレンタル料、御父上に支払われなくて良かったのですか? いくらご子息とはいえ、無断で持ち出すのは法律違反になりますよ?」
「あ~、あれね」
―――レンタルワールドの法律その5:【その4】以外での金額での貸し出し又は借り受け(盗みなど含む)は違法であり、処罰の対象とする
「大丈夫、大丈夫。今頃親父が怒りながら立て替えてくれてるだろうから」
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