第2章 レンタル勇者

17/30
前へ
/63ページ
次へ
「……それは大丈夫と言わないのでは……?」 「もう、シズクは頭が固いな~。どうせバレなきゃいいんだよ。それに、今からクエスト行って稼いだ金で返すことも出来るし。シズクのレンタル料がいくらするのか知らないけどさ」  いつの間にやら自分の手から俺の顔に視線を戻していたシズクが心配そうに聞いて来たが、俺はなんとかなるだろうという感じで返した。難易度にもよるが、大体中級冒険者向けのクエストの報奨金は1つ辺り500円ほどである。この世界は基本的に物価がかなり安いため、500円あれば簡単な装備一式が1日借りられ、5000円あれば1ヶ月間小さな家が借りられるほどなのだ。  だから全然問題ないだろうと思ったのだが、次にシズクが発した言葉に俺は耳を疑った。 「あ、あの……私のレンタル料、『5分で100円』するのですが……」 「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 (ご、5分で100円!? そ、それはつまり―――) 「今、朝の7時ですので、今から例えば夜の7時までクエストに私を連れて行かれますと、『100×12×12』で14400円となります」 「―――ッ!?」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加