第2章 レンタル勇者

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「いえいえ、テオ。私なんて勇者になったばかりですので、まだまだ安い方なのですよ。上位1桁クラスの勇者ともなれば、『1分で100円』はしますし、国王お抱えの上位5人―――通称ブレイブⅤ(ブレイブファイズ)に至っては、『1秒で100円』するなんて噂も聞いたことがあります」 「い、1秒で100円―――!?」  それって、この国の最高価格帯ではないか、と俺は驚愕した。まさかこの国で1番高い商品の1つが勇者だっとは……た、確かにそれに比べれば彼女は安いのかもしれないが、それでも今の俺ではどうすることも出来ない高値であることには違いない。もうこうなってしまえば彼女を連れて親父の店に戻るしかないのだろうが、親父とこの子の前であんな啖呵を切ってしまった手前すごすごと帰る訳にも行かず―――俺は途方に暮れてしまった。    と、その時だった。  ―――ボォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!  けたたましい爆発音と共に、遥か10キロ以上先で物凄く高い火柱が上がるのが目に飛び込んで来た。それから遅れてグラグラと地面も揺れ始めた。
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