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「な、何事だ!?」
俺は突然揺れ出した地面に足を掬われないように必死にバランスを取ろうとした。しかし、そんな俺とは正反対に涼しい顔をしたシズクは火の手の上がった方を見据えていた。そして、何かに気付いたかのように目を見開き、
「テオ、大変です! 隣の村がドラゴンに襲われています! それも、あれは黒竜です!」
と、俺に告げて来た。それを聞いて俺もその方角に目をやってみたのだが、ドラゴンなどどこにも見当たらなかった。
「ど、どこにいるんだ? 俺には全く見えないのだが」
「私には見えています。あっ、また火を吹こうとしています! テオ、急ぎましょう!」
そう言うと、今度はシズクが俺の手を取ったかと思うと、思い切り地面を蹴り飛ばした。
―――ドッ!!
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