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「うおっ!?」
シズクが地面を蹴飛ばした瞬間、物凄い風圧が俺を襲って来た。反動で思わず体が仰け反りそうになる。
それもそのはずだった。彼女は一蹴りで俺を掴んだまま100メートルは移動してみせた。何という脚力だろうか。俺はつい、その細い足のどこにそのエネルギーが宿っているのだろうか彼女の足を後ろからまじまじと見つめてしまった。しかし、そんな俺の視線は余所に、彼女は隣村を一目散に目指し、10キロ以上離れていたにも関わらずものの1、2分で到着してみせた。
「こ、これは……」
隣村に到着してすぐ、俺はその凄惨な現場に思わず言葉を失ってしまった。
至る所で黒煙が立ち込め、村全体を炎の海が包み込んでいた。そして、逃げ惑う人々の悲鳴がその中へと消えて行く。まさに地獄絵図のような、言葉にはできない悲惨な現場であった。
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