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そんな光景に目を奪われていると、1人の男が声を荒げながらこちらに走って来くる様子が目に飛び込んで来た。
「お前たち、何故ここに来た!」
よく見るとその男は半分ほど炎の熱によって溶けたのであろう鋼鉄製の鎧を身に着けており、胸元には盾の形をした勲章をぶら下げていた。その勲章と身なりを見て、俺はすぐにピンと来た。
(ガーディアンズか……)
ガーディアンズとは、国王によって各村々に派遣された下級騎士たちのことで、その村の治安と平和を守る者たちのことである。俺の住んでいる近辺の村であれば、大体2、30人ほどのガーディアンズがそれぞれ駐屯しているのだが、相手が黒竜とあっては彼らでは分が悪すぎる。
「私の名は雨ノシズクと申します。先月勇者になったばかりですが、この惨状を隣村から目にし飛んで参りました」
息も絶え絶えにこちらに駆け寄って来たガーディアンズにシズクはそう言い、移動中にであろうか、いつの間にか胸元に付けていた勇者の証である国王の紋章の上にクロスした聖剣が描かれている黄金のバッジを指し示した。
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