第2章 レンタル勇者

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「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、勇者様―――!?」  その台詞を聞き、シズクの胸元で輝く黄金のバッジを目にしたそのガーディアンズは、思い切り仰け反って驚いた。まさかこの窮地に勇者が駆けつけて来るなんて思ってもみなかったのであろう。というか、それ以上にまだ幼さが残る彼女が勇者であること自体に驚いているのかもしれないが。まあ俺は、それ以前にいつの間に勇者の証であるバッジを胸元に付けていたのかが気になったのだが、今はそんな些細なことを気にしている場合ではなかったな。  ―――グォォォォォォォォォォォォォンンンンンン!!  距離にして数百メートルほどの所からドラゴンの咆哮(ほうこう)(とどろ)いて来た。しかし、燃え(たぎ)る炎の海と建物などが邪魔をして俺の目は未だに黒竜の姿を捉えられずにいた。しかし、1人その姿を常に捉えていたシズクは、 「テオ、このお方とここで待っていて下さい。奴は私が倒して来ます。それからこのお方の手当てもお願いします。一応彼女を残していきますので―――頼んだよ、ルリ」  そう言って全身火傷だらけのガーディアンズに横になるように指示し、彼女はルリという名の、宙を駆ける見たこともない水色の猫を召喚した。
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