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俺の身を案じてここに留まるようシズクは説得してきたが、俺は自分の身などどうでも良かった。それよりもうちの大事な商品でもある彼女に怪我などを負わすわけにはいかなかったからだ。それに……
「これは命令だ、いいな?」
今日1日はずっと俺に付き合ってもらうことになっているので嫌とは言わせなかった。
それを聞いたシズクは渋々といった感じで口を開いたかと思うと、
「分かりました、テオ。それではくれぐれも私から離れないで下さい。それと、あなたにも精霊の加護をかけておきますね」
と言って、急に俺の肩を掴んで来た。するとその直後―――俺の体の中を何かが駆け巡るような感じがした。得体の知れない、何か大きな力が―――
「な、何をしたんだ?」
「私を守護する精霊―――ウンディーネの力の1部をテオにも分け与えました。これでたとえ生身であっても、あの火の海の中で火傷1つ追うことはありません」
俺が思わず聞き返してしまったことにシズクはさらりとそう答えて見せた。
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