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シズクに手を掴まれたまま今にも崩れそうな建物の屋根の上を移動し続けること数十秒後、ようやく俺の目にも禍々しい黒い鱗を持ち火を吐き続けているドラゴンの姿が飛び込んで来た。
―――黒竜だ。
(こいつ……かなりデカいぞ……)
大地に降り立ち建物の影となってまだ全容は見えていないものの、20メートルは優に超えているであろう巨体が村を蹂躙し続けていた。それを見た俺は、早い所対処しないとこのままでは村が全壊し、近隣の村にも影響が出るのも時間の問題だろうと即座に悟った。
と、その時だった。
「テオ、とりあえずあなたは私の背後に隠れてて下さい。今から戦闘に移ります」
何を思ったのかシズクは、背後や死角ではなく俺を連れたままその黒竜の目の前に降り立った。そして、握っていた俺の手を離すと、天叢雲剣を両手に構え黒竜を睨みつた。
「ちょっ、おまっ……嘘だろ!?」
何の前触れもなく突然黒竜の前に降ろされ、俺は心臓が飛び出しそうになった。
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