本編

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 前開きの短い水色の薄いガウンのようなものを身につけている。入院患者が着させられるものだ。腰から下は動かそうにもどうともぴくりともしない。右腕は指の第二関節辺りから肘の少し上まで包帯が巻いてあるのが見えた。こちらも自分の意思通りに動きそうな気配は無い。 -いちばん危惧された頭の……脳の状態ですけど、治療は概ねうまくいったようです。こうしてあなたとお話しできるようになったのですから。  声はそう言うが、ちょっと待って欲しい。  ……記憶が無い。
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