シマちゃん誕生

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シマちゃん誕生

私はシマちゃん。明治35年生まれ。 私にはお城のお納戸役をしているおじいちゃんがいて、おじいちゃんはお城にあるものを管理する仕事をしていました。 いつもちょんまげを結っていて、紋付き袴。 腰にはかたなをさしてかっこよかったおじいちゃんです。 その他にはお祖母ちゃんとお父さんと妹。 お母さんは妹が生まれた時に調子が悪くなり亡くなってしまいました。 私のうちは徳島県の祖谷のかずら橋の近く。 バスの終点から一つ手前のところに、家族で小さな食料品と雑貨を扱うお店を営んでいました。 私が子供の頃には、この辺りにはお店らしいものはうち一軒だけでした。 八百屋さんと農具のお店と電気屋さんといろいろなお店を兼ねていたので、地域の人たちがよく買い物に来ていました。 「シマちゃん、お手伝いできて偉いね~」 私はお店に来る人からかわいがられ、明るい子供に育ちました。 夏はすぐ下にある川で水遊び、季節を通して山にあるたばこ畑の中で駆け回り、とても元気。 うち(店)に帰るとほかの家にはない物がどっさりとあって、退屈することはなかったよ。
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