倉敷へ

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倉敷へ

故郷へ無事に帰って来れたとはいえ、いつまでも何もせずにいられる程の家ではありません。 今度は倉敷の紡績工場で働くことになりました。 寮に入り集団生活が始まりました。 とても大変なお仕事ですが、今と違って文句は言えません。 熱でも出れば別ですが、疲れたからと言って休むことはできません。 どうしてもつらいときは、寝る前にコップ1杯のおしょうゆを飲んで翌朝熱を出し仕事を休んでいました。 今はそんなことをしなくても休養することは認められていますね。 そんな中でもささやかな楽しみもあり、女工さんたちでテニスというハイカラなスポーツを楽しんだこともありました。 「シマちゃん、士官さんのところへお嫁に行かんかな?」 私にもお見合いの話が来ました。 私はそんないいお話ならお受けさせていただきますとすぐに返事をしました。 やがて大安吉日、私は嫁いでいきました。
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