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花吹雪
ボクの町は桜の名前がつく町だ。
人口がそうそう多いわけでもなく主な産業もないごく一般的な田舎町。
ただ春が来ると幸せな桜色に町中が染まる。
いたる所で桜が咲き乱れるボクの自慢の町だ。
そしてその町で。
ボクはキミと出会った。
彼女はボクより5つ歳上の人だった。
ボクが桜並木途切れた河原でぼーっとしている時に声をかけられたのが最初だった。
「よっ、少年。こんなところでなにをしてるんだい?」
彼女は笑顔でボクに話しかけてきた。
「え、えっ、いや?ここから眺める桜が好きなので?見てました。」
いきなり話しかけられてボクはびっくりした。
身近に彼女のような年頃の女性はいない。学校の女子とは違う。少し大人の女性。
そうかそうかと言いながら彼女は周囲を見渡した。
「確かに凄いね。ここから見る桜は。君はこんないい風景を独り占めしていたんだねー。」
と彼女は言いながらボクの隣へ座った。
この場所に桜はない。
ただ、町中の桜が見渡せる場所なのだ。
少し開けてて町中を見渡せる場所。
遠くに桜が咲き乱れているのが見える。
そんな場所だった。
「君は渋いねぇ?でもよくわかってるねー。多分ここから撮る写真は最高の写真になるよ?」
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