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 その夜、小夜と夕食を外で済ませた。マンションに帰りグダグダしてから灯りを点けたままベッドに入る。  何かが違う、何が違う、天井だ、天井のカメ虫がいない。この何ヵ月間か天井の緑色のワンポイントと化していたカメ虫がいなくなってる。  何回か店長に言ってとってもらおうと決意した事もあったが結局言えないままに時を費やしてしまった。  私はベッドから跳ね起き布団をめくる、落ちたならベッドの上である、1枚、2枚、シーツもめくる、敷き布団もマットもパイプベッドも、なのにいない。どこだ。  私はパジャマも脱いでバサバサする、髪も徹底的に調べた。どこにもいない。  生きていたのか、そんなはずはないはずだ。きっとどこかにいるはずだ。  それから部屋中隈なく探した。だが見つからない。  夜半過ぎに下着一丁でカメ虫を探し回る自身の姿の映り込んだ点いていないテレビの画面を見て我に返った。  もう寝よ。  そして夢を見た。  天井にとまったカメ虫の背中が割れて中から何かが垂れ下がる。白いそれはどんどん膨れ上がってゆく、そしてそれは形を成す、白く冷たい人の腕へと。  ぼとり、他人の腕は私の胸へと落下した。     
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