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 百目奇譚とは私のもう一つのバイト先でオカルト雑誌の出版社百目堂書房から刊行されてるオカルト誌の名前である。実を言うと百目堂書房は私の祖父 トリオイ製薬現会長 鳥迫秀一(とりさこひでいち)の経営する出版社でもあり、副編集長の三刀小夜(みとうさや)とは幼少期より見知った仲なのだ。 「 怪談か うらめしや的なやつだよね 」 「 お岩さんって四谷怪談とか言うやつでしょ あれ実話なんですか 」 「 さあね 実際に起きた元の事件があるのかは知らないけど江戸時代の有名な歌舞伎や落語の演目の1つだよ 昔は幽霊と言えばたいてい片目が腫れたお岩さんだったからね それぐらい庶民にも浸透してたんじゃないか なかなかよく出来た怪談話だよ 」 「 奥さんを毒殺しちゃうんでしたっけ 」 「 毒では死んでないんじゃないか 確か髪が抜け落ちて目蓋が腫れ上がるんだよ その後斬り殺したんじゃなかったっけ まあ身内の殺人事件なんてたいていおどろおどろしいものだよ そして化けて出る 」  身内で起こる殺人事件、そこにはどうゆう経緯で至るのだろうか、もはや正常ではないのであろうか、それとも 正常だからこそ、そこまで出来てしまうのだろうか。 「 やめてくださいよ なんか怖くなっちゃったじゃないですか 」 「 あのさぁ そりゃ怪談は怖いだろう 」 「 そうなんですけど 店長は幽霊信じる派ですか 」 「 いんや 信じる信じない以前に見たことないからね やっぱ見てみないとわからないよ 」     
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