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「 わからないって 見たら普通信じるでしょ 」
「 そうでもないよ 以前ね 夏のじっとりと暑い午後にすりガラスの引き戸の脇の畳の上で寝入ってしまってね 」
「 なんか始まった 」
「 そしたらうなされちゃってさぁ すりガラスの向こうで沢山の人がなんか喋ってるんだ 」
「 何勝手に始めてるんす 誰も居ないんですよねぇ 」
「 うん 向こう側は廊下だけど僕だけだよ そしたら胸が苦しくなってさぁ なんか重たいんだ 」
「 ちょいたんま 怖いのだったら 私 泣いちゃいますよ」
「 でね 無意識に胸の上の重たい物を片手で掴んではねのけたんだ そしたら じっとりと冷たくって柔らかく掴んではいけない生々しい感触が伝わってね 」
「 エロイムエッサエム エロイムエッサエム 我は求め訴える 」
「 さすがに意識が覚醒してさぁ そしたら今はねのけた物がドンって胸の上に落ちて来てさぁ 」
「 私は何も聞こえないし何も感じない そう月夜は道端の石ころなのよ 」
「 それが他人の腕なんだ 」
「 いゃァァァァァァ …
「 僕は今まで自分でも聞いた事無いような声出しちゃてさぁ 本当 死ぬほどビックリしたよ 」
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