閑話:ホワイトさんの甘いため息

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 上原くんのことを心配しながらも、代打で向かった店舗では、かなり苛々しながら仕事をしていた。  オーナーである私がいるにも関わらず、店長がいないから、という緊張感の無さや、手際の悪さ。  ここの店舗は見直さなければいけない、と内心、うんざりしてしまう。 「ねぇ、上原くってばっ」  スタッフたちに注意をしている時に、若い女の子の声が聞こえてきた。『上原くん』という名前に自然と反応してしまう私。  まさか、この店にいるわけがない、と思っていたのに、何の偶然か、不機嫌そうな本人が立っている。  私の癒しの上原くん。  このチャンスを逃すわけにはいかない。  私は嬉しい気持ちを隠すことなく、彼のそばへと向かった。   声をかければ、少しはにかんだような顔で挨拶を返してくる。
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