一杯目

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 俺は番号札を手に、席を立った。受け渡しのカウンターのところ向かうと、短めの黒髪を一つに束ねた、可愛い感じの女の子が、トレーを持って待っていた。 「ありがとう……って、俺、ゆで卵は頼んでないけど?」  困惑気味に、彼女にそう言うと、彼女のほうも困ったような顔で笑った。 「店長からです。卵、お嫌いですか?」 「え。いや、好きですけど」  親子丼好きの俺が、卵を嫌いなわけがない。  トレーを受け取りながら、カウンターの中のホワイトさんの姿を探すと、ちょうど新しくきたお客さんの対応をしているところだった。 「じゃぁ、ありがたく、いただきます」 「はい」  彼女が嬉しそうに微笑むので、俺の方が照れくさくなった。
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