2320人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、空いていたパイプ椅子に座って、帽子を脱ぐ。
被りっぱなしだから、普段はツンツンと立っている茶色の短髪もへたってしまっている。
「やっぱ、防災センターの中、あったかーい」
「西山はどうした?」
「トイレ寄ってます」
夜間の巡回は二人で回るんだけれど、防災センターに入る前に、西山さんはトイレに寄ってくると言って別れた。
西山さんは俺よりも三つ年上のニ十五歳。
俺みたいな小柄なのと違って、まさに柔道部の重量級、という感じ。いかつそうに見えるけれど、猫好きでけっこうカワイイところのある人だ。俺も猫好きだから、休憩中は猫の話ばかりしている。
最初のコメントを投稿しよう!