一杯目

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「お疲れ。ほれ。上原、西山、缶コーヒー。もう温くなってるかもしんねぇけど」  部屋の奥の仮眠室から現れた安西さん。  いつの間に買ってきたのか、缶コーヒーを二本、俺たちの方に差し出した。  安西さんも西山さんみたいに身体の大きい人だけど、眼鏡をかけてるせいか、少し優しい感じの人だ。小さいお子さんが二人いるパパさんだからかもしれない。 「え、いいんですか?」 「おお。高田さんのおごり」 「ありがとうございますっ」  俺と西山さんが大喜びで缶コーヒーを受け取る。確かに、もう熱々ではないけれど、手の中の温もりはありがたい。 「早く飲め。じゃあ、安西、行くか」 「はい」 「いってらっしゃい」  二人が防災センターを出ていくと、俺と西山さんは交代で小一時間ほど仮眠をとるのがいつものこと。  西山さんのほうが先に仕事があがることもあって、先に休んでもらい、俺は防犯カメラをチラチラみながら、報告書を書き始めた。
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