一杯目

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 受付のところにある壁時計は九時半を指している。この時間になると、もう出勤のピークは一段落している。しかし、それでも人の流れは止まらない。 「おはようございます。どちらに行かれますか」 「あー、これに場所と名前、書いてください」  昼間の勤務の先輩たちが、これから出勤の人たちの入館手続きをしている様子を見ながら、俺は退勤の準備をし始める。  ここのバイトを始める前、昼間のほうが、いろんな店や中で勤務してる人たちと出会えたり、お客様の対応やらで忙しいと教えられた。  クレームの対応なんかもあったりと、けっこう難しいこともあるらしい。  夜間の勤務には、それが少ない分、俺なんかでもなんとかなってるのかもしれない。
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