一杯目

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 制服から普段着に着替え終え、「お先に失礼しまーす」と防災センターを出た。  従業員出入り口は出勤の人たちでごった返していたが、俺同様に退勤する人の流れもある。俺はその流れにのって出入り口を出た。  ちょうど出入り口に朝日が差し込んできて、眩しくて目を瞑る。  従業員の自転車置き場は、この出入り口のそばにある。俺の自転車も目の前に置いてあるけれど、俺はここをスルーして、開店間もないショッピングモールの方へと向かう。  自動ドアを抜けると、軒並み、挨拶をしてくる店員さんたち。  この時ばかりは、警備員の制服から普段着になっているから、誰も俺を警備員だとは気づかない。  そもそも、夜間勤務の警備員の俺なんていうものを認識してる人なんて、皆無に等しい。
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