四杯目

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「ナミちゃん、何頼む?」  「んと、カフェオレお願い。あと、サンドイッチ」 「おけー」  俺の方を見もせずに、彼らはさっさと注文しにレジに向かっていく。  こいつら、ここでそのままランチってことだろうか。せっかく、のんびりホットミルクを味わうつもりでいたのに、なんか予定が狂ってきた。 「上原くんは就職決まった?」  小首を傾げながら、どこか期待を込めたような眼差しで言う彼女の声と顔つき。  俺は不意に思い出した。  それも、あんまりいい思い出ではない。  自然と口元が歪みそうになるのを、俺はなんとか抑え込んだ。
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