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俺は、ああ、とため息をつきそうになる。
俺が一人の時だったら、声をかけられたことを素直に嬉しいと感じただろう。それなのに、今、目の前にいるこいつらとともにいることが残念でならない。
トレーを持って振り向くと、ホワイトさんはカウンターから出てきていた。
颯爽と歩み寄る姿は、まるでモデルみたいだ。俺の目の前まで来るのは、あっという間。
さっきまでの厳しい雰囲気とは違い、俺と目があうと、嬉しそうに微笑むホワイトさん。
久しぶりに見るせいか、反則的にカッコいいのって、ズルいなぁ。男の俺でも、なんだか顔が熱くなる。
「こ、こんにちは」
俺はなんとか笑顔で挨拶ができたと思う。
「こんにちは。お友達?」
少し声を抑えながら聞いてくるホワイトさんが、チラリと『ナミちゃん』たちに目を向ける。
その言葉に俺は口元を歪めそうになる。正直、「違います」と喉まで出かかった。
「そうなんです。大学の友人でぇ」
彼女の声が俺の背後から被せるように聞こえてくる。俺は堪らず、大きくため息をついた。
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