一杯目

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 父さんが亡くなったのは、約一年前。  帰宅途中、新年会の帰りの酔っ払い運転の車に引っ掛けられて、事故死したのだ。  俺は大学三年の終りで、あと一年で大学も卒業、というところだった。  父さんの保険金はおりたけれど、家のローンや、私立の高校に通っている弟の学費とか、金はいくらあっても足りない。  母さんも、もともと働いてはいたけれど、それだけで生活できる余裕なんてなかった。  だから、俺は大学も中退しようと思ったのだけど、母さんが「それだけは止めて」と泣いて止めるので、休学、という形をとっている。  だけど、いつまでも、このままでいいわけない。
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