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 高校生になった忠志は朝家を出る時に篤眞の家が気になる。小学生の時のように声を掛けて一緒に登校することはしない。 新しい高校生活と勉強であっと言う間に月日は過ぎ一学期の中間テストになった。テストの最終日、忠志はテスト勉強で睡眠不足。昼寝をしようとテストが終わると早々に下校した。停留所でバスを降りるとスマホを覗き込みながら、らぶらぶら自宅に向かって歩いた。 「忠志…」後ろから声を掛けられた。スマホから顔を挙げると、すぐ横で自転車を止める篤眞がいた。 「何だ、篤眞…、やっぱり自転車通学なんだ」バスで篤眞と一緒にならないから自転車通学かな、と思っていた忠志は納得した。今は不意を突かれ少し驚いている。 「バスを使っているんだ、本数が少ないから不便じゃない?」篤眞は片足で自転車を支え、サドルに腰かけたまま耳に挿しているイヤホンを外していた。 「まあね。自転車通学か…僕もそうするかな」忠志は自転車と篤眞の顔を交互に眺めている。篤眞は自転車を降り押し始めた。中学校が違った二人。通学途中に話をするのは久しぶりだ。最初妙な遠慮があった二人だったが話し始めると直ぐに小学校の頃の気持ちに戻り打ち解けて話をし始めた。高校のクラスのことや中間テストの出来、出身中学の話をしながら家に向かった。スマホのLINEの交換もした。 「後で家に来いよ」別れ際に篤眞が言った。 「うん、後で遊びに行く。一応LINEするから。今は眠くてさ…ちょっと昼寝する」忠志は眠そうに欠伸をしながら軽く手を挙げて篤眞と別れた。 「そう…アハハハハッ…」軽く笑って篤眞も手を挙げた。
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