今の自分は、おやげねえことに。

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下の娘夫婦が週末に来てくれて、その話すると、スマホでできるとかでちょこちょこっ触ってセットしてくれた。どれとやってみると、おお、すごい凄い、今まで出来なかったのが普通に家にいるようにできる。何これ、すごい、と言うか自分が知らなかっただけの事だが。書きかけの作文もこれでかける。音楽も聞けるし、いいぞー。 病院の一日は長いと言われるが、そうかなあ。朝6時には部屋の電気が付く。がまだ朝ご飯ではない。8時に朝飯。それまで各自看護師さんから朝の検診を受ける。体温酸素血圧などを測る。眠い人はねたままでよい、人によっては、起きられない人もいよう、眠い人、重病の人。8時で朝飯が始まり、部屋へ届けてくれる。可動式のコンパクトテーブルに置いといてくれるので、おいしくいただく。   先生方も看護師さんも若い方が多い。特に看護師さんは明るくはきはきしていて、動きが軽い。見てて、話してて気持ちが前に進む。ついつい沈みがちな話題も,明るく受け止めて前へ前へと向かわせる。沈む思いに同調し過ぎると、暗さから抜け出しきれなくなることをよく知っている。 朝の検診が終ると、間もなく夜勤が終るそうで朝勤務の人と引継ぎになり、もう少しの部分と夕べもよく働いたという部分が、混じるこの朝の検診時。今夜のバスでスノボ行くんです。なんていう楽しい予定も聞くことができて。充実しておりやり終えてほっとする時間の様だ。  若い美しい看護師さんと話していると、「余生時代から野性時代に。」ぐんぐんと戻って行く自分を、感じることは残念ながら無理なのだが、それでもどうしても見たいと思うのだ。少し、ほんの少し気持ちがその方向を向く気がする。で、むくむく力が湧いてくるようなに思えてくるのだ、ほんの少しだが。まだ野生などと言う神聖な感情が残っていたのか。  彼女の青春の今の同時代を共感しようとする自分がいるのが見える、自分だけそう思っているだけの事だが。そんな話を検温の時に、ちょっとだけ聞いて。そう言えばいまがシーズンの真っ最中だね、楽しく行ってきてください、怪我しないようにね。などとと言葉を交わして、お陰で、朝のさわやかさが増した気がした。スノボの事になると目がより輝いて、それを見てるとこの爺さんもより元気になりそうだ。
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