今の自分は、おやげねえことに。

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 今まだ受傷後の療養で、80日目になろうとしている。勿論家にいる、外に行くことも制限ない。が、何だか聖マリの非日常的経験が懐かしい。受傷も非日なのだがこれはもういい、十分だ。 聖マリでの僅か9日間だが、とてもなんかいい経験した気がする。 退院してから約10日で、再検診と抜糸に行く。とても楽しみだった。水溜まっつてるかな、本院送りかなと言う心配は少しはあったが、それよりなんだか懐かしい我が家によるような気がして、変だよね、別に入院していた病院だよ。大丈夫?   大きなけがや病気が幸い家族でなくて、前の名古屋にいた時は子も小さくて内科耳鼻科と親戚のように付き合いをしていて、なじみだったが、ここにきて皆大きくなり、耐性も出てきて、近くの病院通いも少なくナッツて来ている。  聖マリはもう30年も前、上大岡から瀬谷にひっ越してきた時にはすでにりっぱな建物があり、なじみではあるが、お世話になるチャンスがなかった。それでもまだ子供が小さいので近所のかかりつけの、内科小児科耳鼻科を訪問することには変わらないのだが、地元の基幹医療機関の聖マリに回されることがない。風邪腹痛でかかりつけに行くのがほとんどで。  今は骨もついて、幸い肺と肋骨の間の胸膜からの水抜き後苦しくなることなく、ひたすら復帰に向けて、リハビリに励んでいる。スポーツジムで基本指導を受けて、クラブの機械やバイクで少しずつも取り戻そうと、けがしないようにとやっている。  退院後の2ヶ月検診があり。久しぶりに主治医の30代後半の女性のお医者さんに会えた。レントゲンで異常なし。喜びたいのだが、だんだん縁と言うか、自分がそう思ってるだけなのだが、薄れる気がして。寂しい。更にそれに追い打ちをかけたのが、診察室のドア―に張られた貼り紙。4/1より担当替わりますと。どちらにおいでですかとお尋ねすると、本院にご栄転との事。おめでとうございます。でも寂しい。幸多かれと。転勤はつきものなれど、寂しい。  退院して順調でよかった、よかった。毎日かつての余生時代のつずきで、安穏な静かな毎日が約束された。逆に言うと、かすかに感じた気のする野性時代には永遠に、と言ッても先は見えててすぐ先だが、無関係になることを意味している。  体の回復は有り難い。そして貴重な体験は自分の中にだけしっかりと取っとこう。
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