Ｋ先生のこと

　次の日の朝の会で、

「大仏の担当男子は前に出てこい！」

　突然、Ｋ先生の大声。

　恐る恐るＫ先生の様子をうかがいながら出ると教卓の横にならんで立たされ、

「昨日、なんで作業に参加しなかったんや」

と訊(き)かれたので、

「女子が、十時を過ぎても来なかったので、仕方なく帰りました」

と私が代表して不服の申し立てをした。

　するとＫ先生は、

「そんなことで大仏が完成するんか！」

と怒鳴(どな)り、みんなの前で担当男子一人ずつを固く握りしめた拳骨(げんこつ)で殴り始めた。

　言い訳をした私は特別に強く殴られたように思う。

「女子も悪いのになんで男子だけが殴られなあかんねん」

と私は大いに不満を持ったが、Ｋ先生の剣幕(けんまく)に圧倒され何も言えなかった。