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お風呂…それは1日の疲れを癒すところ…。
お風呂…小さい子供たちと1日の出来事を話すふれあいの場所…。
お風呂…それは…。
「♪真っ白しろ星~人、ぱっ!♪真っ白しろ星~人♪パッ顔を洗えば…ママの顔~♪」
……これは何の歌…?
「その歌、なあに?」
年長さんの卓人が私に問う。
「それはね、あなたが小さいときに、お風呂で泣きそうになった時に思い付いた歌だよ。この歌でよく笑ってくれたわ。今も陸が笑ってくれているでしょ」
卓人の横でもうじき1歳になる陸がきゃ、きゃとベビー用の椅子にちょこんと座って笑っている。
「…あ~、ほんとだ。じゃあ、ボクもやりたい」
「でも、ママの洗顔クリーム、目に入ると痛いわよ。大丈夫?」
「目をしっかり瞑っていれば、いいのでしょ?しーんぱーいなーい」
そう言って、洗顔クリームを小さい手で泡立てた。
そぉーと泡を顔につけ、卓人は歌う。
「♪真っ白しろ星~人、パッ♪真っ白しろ星~人、パッ。顔を洗えば、お兄ちゃんのかーお♪」
陸は楽しそうに笑う。
卓人はそれに気を良くしたのか、何回も歌を歌った。
そして私はその間に頭と体を洗い終えた。
ざぶ~んっ。
3人で湯船に浸かる。
あー、あったかい~。
「あったかいね~」
「あぁ~♪気持ちいね~」
「マンマ…」
「ママ!陸が今マンマって呼んだよ!すごいね~」
卓人が驚いたように言った。
「本当だね。じゃあ、今度はにいにって呼んでもらえるようになると良いわね」
笑いながら言うと、卓人は陸に『にいに』って言ってとお願いしていた。
…お風呂…それは…『真っ白しろ星人』の歌を歌う場所…。
…お風呂…はじめて子供が言葉を発した場所でもある。
この日から、『真っ白しろ星人』の歌係は卓人になった。
ある日のお風呂で卓人、頭にシャンプーをつけて髪をたたせて…。
「次は真っ白しろサ○ヤ人~♪」
おしまい
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