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色は何かしらの要因で、後天的に付く。
基本的には糸の先の人間と、何らかの接触があった場合がほとんどだ。
「だからこれに関係なく、恋愛だってなんだって出来るんですよ。」
こんなものはきっと前世で何かあったって程度のものなんだ。
自分の手を掲げながら言った。
「君んち、縁結びで有名だって言ったよね。」
遮る様に、強い目でこの人は言った。
言ってしまって良いのだろうか。
ああ、もう俺とこの人を繋ぐこの一本の線を取り払ってあげた方が、幸せなのではないかと思った。
「うちは、いや、俺の家系は糸に触れる事が出来ます。」
目の前に垂れさがる糸を持ち上げて確認するようにツーっと撫でた。
彼が息を飲む音が聞こえた。
「もつれてしまった糸をほどく事も出来ますし、繋がるこれを切る事も出来ます。」
何故だかわからないけれど、俺は微笑んでいた。
「……切るとどうなるんだ?」
普段より大分低く、真剣な声で返される。
「どうも?どうもなりませんよ。」
別に切っても、誰も死なない。
切った物を別の誰かに結び付ける事も、昔はやっていた様だが、それをした二人が必ず幸せになる訳でも無い。
糸は、まやかしに近い目障りなだけの存在なのだ。
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