3話

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煮えたぎる頭で、亘理の顎のあたりを殴ろうとした。 亘理が身をすくめた為、当たったのは左の頬だった。 痛みに蹲るが、泣きもしないし、殴られた瞬間くぐもった声を出して以降、悲鳴すらあげやしない。 面白くない。 何が、と言われるとよく分からないけど。 「だから、……だから切りたいなら切りますって言ってるじゃないですか。」 吐き捨てる様に亘理は言った。 既に、赤くはれ始めた頬を、手で庇う様に当てながら、亘理は顔をしかめた。 「そんなに、嫌なのであれば切りますよ。所詮こんな糸に何の意味もないのだから。」 先日話をした時と同じ事を言い、亘理は立ち上がった。 それはまるで自分自身に言い聞かせている様な言い方で、強く印象に残った。 「切るとか、切らないとかそういう問題じゃねーだろ。」 じゃあ、どういう問題なのか。 あの子と繋がっていない糸等、切って欲しかったんじゃないのか。 自分でもおかしな事を言っている自覚はあった。 事実、亘理もポカーンとした表情で見上げている。 「兎に角、糸を切るかは俺が判断するから。」 後、俺と繋がってるってことを分からなくする小細工は要らない。そう付け加えた。 いざ、切るとなると、引っかかりを感じるとか、意味が分からない。     
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