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手には購買の紙袋を握っているので、食べるものを持ってきたらしい。
「学食にはいないだろうと思ったから買ってきたんだ。」
俺がいつも学食を使わないことを知ってる訳がないのにそういう風に言われ思わずそらしていた視線を小西先輩に向けた。
「俺もあのごちゃごちゃとした物見ると食欲なくなるもん。」
カツサンドを取り出して頬張る小西先輩は当然の様に言った。
「だからって、なぜここに?」
「自分の指からのびた糸をたどるのって結構面倒だね。廊下で2度ほど分かんなくなったよ。」
「どうやってここまで来たかではなくて、なぜ俺のところに来ようと思ったかが知りたいのですが。」
仕方が無く自分のツナサンドを取り出して食べる。
どんな状況でも美味しいものはおいしい。
「んー?この糸を利用しようとしない君が気になるって言ったら、信じるぅ?」
「まあ、信じませんね。」
間髪入れず俺が返すと、面白そうに声を上げて笑われた。
信じる訳がないだろう。
「ねえ。あの子の糸を解くことはできないの?」
「……解いたところでアンタと繋がりはしませんよ。」
「うん、それは知ってる。」
少しだけさみしそうに小西先輩は言った。
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