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「あの子、もう限界みたいなんだ。今日も何でって泣きそうでさ。大地だけはいつも態度が変わらないから嬉しいって。」
「のろけですか?大分懐かれてるじゃないですか。このまま優しい先輩でいればアンタに靡くんじゃないですか?」
言ってからとても厭味ったらしい言い方になったと気が付き思わず顔をそむけた。
だから、その時どんな顔で小西先輩がこちらを見ていたかなんて知らない。
「変なオーラを引き寄せちゃうんです。」
静かに小西先輩は言った。
「あの子、そう言ったんだよ。」
多分、糸が見えないにしろ何かを感じてるんじゃないか。なら、何か助けになれるんじゃないか。
こんこんと、小西先輩は説明した。
「そもそも、本人が毅然と断ればそれで済むことですよ。
あれを何とかしたとして、別の悪縁に蝕まれないなんて誰も保障できない。」
目の前のサンドイッチを飲み込んで俺が言う。
「見るからに悪縁だったとしても、必要な場合もあるんですよ。
能力があるからといってそれを行使していいということにはならない。」
「……じゃあこの糸を切るって言ったのは?」
「だって、つながっているのは俺ですから。」
「切ったことによって、お互いに別の〝悪縁”が降りかかったとしても。」
「それも覚悟の上ですよ。」
だから、言ったのだ。
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