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「なんで、俺の希望を叶えるために亘理君がそんな覚悟してるの?」
二人しかいない室内にそれは思いの外大きく響いていた。
何故って、そりゃあ。
「そんな事どうでもいいでしょう。
それよりあの転校生の話ですよね。
あの手の絡まりは解いても解いても、本人が変わらない限り引き寄せますよ。
本人が自覚して、でその手伝いをうちがするのであれば可能ですけど。
そもそも、それで彼が変わってしまってまだアンタらの好きな無垢の彼のまま居られるのかは俺には分かりません。」
まくし立てる様に一気に言うと
「どうでも良くはないんだけど、今はまあうん、それでいいよ。
それに、俺はあの子が無垢だから大切だと思ってるんじゃないよ。
彼が成長するかどうかは彼が決めるべき事だ。」
そう返された。
視線は恐ろしくて合わせられそうになかった。
「兎に角、一回あの子の話を聞いてもらっていいかな?」
「……わかりました。」
絞り出すようにそう一言言うだけで精一杯だった。
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