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そっと、あの人の部屋のインターフォンを押した。
◆
リビングスペースのソファーに座っている転校生は、華奢な体に小さな頭が乗っていて、顔のパーツも綺麗に整って、近くで見るとそれはそれは可愛らしかった。
糸に関係なく、この人がモテるのが分かる気がした。
「初めまして。」
頭を下げると、転校生はニコリと笑顔を浮かべた。
「初めまして、俺、五十嵐 佐紀って言います。」
立ち上がって、頭を下げられる。
あの人は一体俺の事何て説明したのだろう。
俺の後ろに居た、小西先輩を振り返る。
ふんわりと笑顔を浮かべられただけだった。
促されるままにソファーに座った。
「で、どこまで話したんですか?」
小西先輩は、俺の前では見せたことの無い、人の良さそうな笑みを浮かべた。
「佐紀の言うオーラの見え方を聞いて、君が縁切神社の息子だって話をしたよ。」
「オーラ、ですか。」
彼は何かが見えているらしい。あくまでも彼が言うにはだ。
「あ、あの。」
五十嵐君は俯いて、自分のズボンの太もものあたりをギュッと握りしめて、それから振り絞るように言った。
「俺の近くに濁っている澱みみたいなのが、ジワジワと増えていくんです。
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